「富士カリフォルニア・リーダーズ・サミット」を開催カリフォルニア州主要都市の市長団を迎え、文化交流、グリーン水素政策、若者の国際アート交流を通じて、日米が協働する持続可能で創造的な地域づくりの未来を共に描くサミットを開催しました。

2025年10月7日・8日の2日間、山梨県内にて「富士カリフォルニア・リーダーズ・サミット」を開催しました。本サミットは、富士五湖自然首都圏フォーラムが主催し、山梨県・静岡県とカリフォルニア州主要都市との間で、文化交流、グリーン水素政策の連携、行政同士のネットワーク強化を目的として実施されました。 カリフォルニア州から14名の市長市議等を含む計25名の訪問団が来県し、長崎幸太郎 山梨県知事、鈴木康友 静岡県知事、田坂広志 富士五湖自然首都圏フォーラム会長による歓迎のもと、山梨県・米倉山にあるグリーン水素製造施設の視察や、若者による国際アート交流プログラムの見学、ディスカッションを実施しました。カリフォルニア州主要都市を巻き込み、グリーン水素による持続可能な経済、若い世代とアートによる活力ある社会の創出を目指す「Fuji-California AGES構想」のさらなる発展に向け、交流を深めました。

富士山を臨むサミット会場・ハイランドリゾートホテル(富士吉田市)。カリフォルニア州訪問団と田坂会長


21世紀アカデメイアの学生によるおもてなし

10月7日、カリフォルニア州訪問団が河口湖音楽と森の美術館に到着。富士五湖自然首都圏フォーラムの参画団体であり、全国で約1 万人の学生が学ぶ日本最大級の専門学校グループ「学校法人 21世紀アカデメイア」の学生たちが、訪問団を歓迎する特別なおもてなしを提供しました。

学生たちは、和食(おにぎりビュッフェ、味噌汁、漬物)、和菓子、漢字アートなど、日本文化を体験いただく特別なおもてなしを提供し、カリフォルニア州訪問団へ、日本文化の根底にある哲学や美意識を紹介しました。


30か国以上・約2,000名が参加した国際アートコンペティションの受賞者を表彰

続いて「Fuji-California Young Artists Expo 2025」の授賞式を実施。Fuji-California Young Artists Expo は、学校法人 21世紀アカデメイアとの官学連携により開催する、30か国以上、約2,000名の学生から社会課題をテーマにしたアート作品を募った国際的なアートコンペティションです。アフガニスタン、ナイジェリア、インドネシアなどさまざまな国からも多数の応募があり、若きアーティストの発掘と、アートを通じた若者たちの国際交流を目的としています。

授賞式では、日本在住の受賞者2名が登壇し、表彰状の授与と受賞スピーチを行いました。山梨県知事賞を受賞した専門学校 東京ホスピタリティ・アカデミーのチョウ・カミさんは、「世界で深刻化する食料不足や貧富の格差、地球温暖化といった社会課題に向き合いながら作品を制作した」と語りました。急速に進むAI技術の発展が若者にとっては利便性をもたらす一方、高齢者には使いこなす難しさも生じている現状に触れ、世代や文化の違いを超えて互いを理解し合うことの大切さを強調し、「コミュニケーションを深めることで、世界がより平和になることを願っている」と締めくくりました。
また、21世紀アカデメイア言霊プレゼンテーション賞を受賞した浜松医科大学の北澤瑞基さんは『アイデンティティとの向き合い方』をテーマにしたと語り、「自分も含め、個性が薄いと感じる人は多いと思いますが、濃い色の個性が必ずしも良いとは限らない。 淡い色の個性だからこそ、他者の考えに耳を傾け、協力し合うことで新たな色を生み出すことができる。個々の個性を超え、互いに混ざり合いまだ見ぬ世界を作り出していきたい。」と作品に込めた想いを語りました。

海外在住の受賞者からの動画スピーチも放映され、国際的な舞台で作品を評価された喜びや感謝の気持ちが語られました。

山梨県知事賞を受賞したチョウ・カミさん(東京ホスピタリティ・アカデミー 中央左)21 世紀アカデメイア言霊プレゼンテーション賞を受賞した北澤瑞基さん(浜松医科大学 中央右)と長崎知事、田坂会長


アートを通じた国際交流へ—カリフォルニア派遣学生の任命式を開催

その後、カリフォルニア州への派遣学生「アンバサダー」の任命式が行われました。Fuji-California Young Artists Expo 2025応募者の中から、17名の大学生・専門学校生・高校生をアート通じた国際交流を行う「アンバサダー」に任命し、11月21~25 日の5 日間、カリフォルニア州へ派遣する本事業は、「富士五湖グローバル・ビレッジ・コンソーシアム」の活動の一環として、今年度から実施するもので、アートを通じた次世代の国際交流促進を目的としています。

派遣学生たちは、共同アート制作、世界屈指のアートシティであるラグナビーチ市の訪問、現地ギャラリーの視察、若手アーティストとの交流を予定しており、任命式では、カリフォルニア派遣に向けての抱負が述べられました。
山梨大学の横山剣士郎さんは、「アンバサダーとして、アートを通じて山梨とカリフォルニアの新たな友好の記憶を創造したい。物理的距離、文化的背景を超え、心と心で通じ合うような感動的な瞬間を分かち合えることを心から楽しみにしています。」と語りました。
静岡大成高校の川内ひまりさんは、「アートのほか音楽にも興味があるので、音楽と自分の作品を組み合わせて、音楽アーティストの想いをアートで表現したり、そこにメッセージを込めたり、形のないものをアートで表現したいと思っています。将来、グローバルに活躍できる人になれるよう一生懸命頑張ります。」と抱負を述べました。

写真①(左):川内ひまりさん(静岡大成高校・中央)、横山剣士郎さん(山梨大学・右端)
写真②(右):カリフォルニアへの州派遣学生たち


「やまなしモデルP2Gシステム」を紹介—米倉山次世代エネルギーシステム研究開発ビレッジを訪問

10月8日、カリフォルニア州訪問団は、山梨県のグリーン水素製造拠点である「米倉山次世代エネルギーシステム研究開発ビレッジ」を訪問し、同県が推進する再生可能エネルギー施策の中核となる「やまなしモデルP2Gシステム」を視察しました。訪問団は、同システムの技術概要や運用体制について説明を受け、地域エネルギー転換に向けた取り組みを確認しました。今回の視察は、富士五湖自然首都圏フォーラムが推進する「富士ハイドロジェン・バレー・コンソーシアム」への各自治体の参画を目的としており、日米双方の持続可能な社会の実現に資する政策交流の一環として実施されたものです。


富士五湖自然首都圏フォーラムとカリフォルニア訪問団が意見交換

視察後、ハイランドリゾートホテル(富士吉田市)へと会場を移し、富士五湖自然首都圏フォーラムおよびカリフォルニア州によるプレゼンテーション並びに文化交流会が開催されました。
冒頭、田坂会長より、富士五湖自然首都圏フォーラムのこれまでの事業成果と今後の戦略について説明が行われました。
続いて、カリフォルニア州の市長、市議らが、それぞれの自治体における地域振興、環境政策、文化交流の事例を紹介し、両地域の今後の協力可能性について見解を述べました。会場では、自治体間連携の深化に向けた有意義な意見交換が行われ、国際友好の促進につながる場となりました。

プレゼンテーションを行う田坂会長とラグナヒルズ市長ジョシュア・スウィーニー氏

プレゼンテーション後には、文化交流会が実施されました。山梨県大月市の書家・望月大耿(たいこう)氏による書道パフォーマンスが披露され、望月氏は、カリフォルニア州訪問団に対する歓迎の意を示し、「Love CA(カリフォルニア) 」「愛」の2作品を揮毫しました。また、訪問団は望月氏の指導のもと「不二」「愛」「花」等の文字に挑戦し、日本の伝統文化への理解を深める機会となりました。

また、ロサンゼルスから来県したジャズボーカルグループ「The Bean Tones」と、山中湖村出身のプロサックス奏者の渡邉瑠菜さん、富士学苑中学・高等学校(富士吉田市)の学生らの音楽セッションが行われ、富士五湖自然首都圏フォーラムが目指す「芸術を通じた日米の若者たちの国際交流」の可能性を示す好例として、訪問団に披露されました。

訪問団が参加する書道ワークショップ・望月氏による書道パフォーマンス(写真では「愛」の作品)

The Bean Tones と渡邉瑠菜氏、富士学苑中学・高等学校の学生らのセッション

本サミットを通じて、山梨県・静岡県とカリフォルニア州は、グリーン水素、文化・芸術交流など多様な分野で、相互理解と協力の基盤をいっそう強めることができました。技術視察や学生によるホスピタリティ、国際アートコンペティション、文化交流プログラムなど、複数の取り組みが連動したことで、自治体間はもちろん、次世代を担う若者同士の交流も深まりました。

今後も富士五湖自然首都圏フォーラムとカリフォルニア州が連携し、共に未来を切り拓いていくことが期待されます。関係自治体・教育機関・企業が連携し、持続可能な地域づくりと国際交流の推進に取り組んでまいります。

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