「学生アート交流カリフォルニア州派遣事業」を開催:アートを通じた若者たちの国際交流学生17名がカリフォルニアでアートの共同制作・展示に挑戦。創造性と協働力を磨いた4日間の海外研修プログラムの成果を報告。

富士五湖自然首都圏フォーラムは、学生の国際経験と創造性を育む海外研修プログラム「学生アート交流カリフォルニア州派遣事業」を、2025年11月21日〜11月24日の4日間で実施しました。本プログラムは、アートを通じて若者の国際交流を促進することを目的に、山梨県・静岡県の学生を中心にカリフォルニア州へ派遣するもので、「富士五湖グローバル・ビレッジ・コンソーシアム」の活動の一環として2025年度にスタートしました。

本事業は、官民連携による新たな行政スタイルの確立に挑戦するフォーラムの理念を具現化するもので、山梨県と日本最大級の専門学校グループである学校法人 21世紀アカデメイアが連携しながら推進するプロジェクトです。
派遣メンバーは高校生から大学生までの全17名。山梨県が公募により選抜した学生と、21世紀アカデメイアが選抜した学生です。山梨県では、国際アートコンペティション「Fuji-California Young Artists Expo 2025」に作品を提出した学生を対象に、本事業への参加希望者を募集し、応募者の中から7 名を選抜しました。21世紀アカデメイアでは、全国で約1万人が学ぶ同グループの専門学校生の中から派遣メンバーを選抜し、10名が代表として参加しました。

カリフォルニアでは、共同アート制作をはじめ、世界有数のアートシティであるラグナビーチ市への訪問、美術館での学生作品の展示、海外アーティストとの交流・作品講評など、アートを通じた国際交流を行いました。これらの体験を通じ、学生たちは創造性やコミュニケーション力を磨き、また、異なる文化を体験し、相互に理解し合う重要性を学びました。


オンラインでの準備期間と、初めての顔合わせ

渡航の2か月以上前となる9月には、オンラインで2回にわたるワークショップを開催。学生たちは4チームに分かれ、現地での活動スケジュールの共有と、共同アート制作に向けたテーマ設定や構成案の検討を行いました。「社会課題をアートで表現する」という共通テーマのもと、オンライン上でアイデアを出し合い、作品のコンセプトや表現方法について議論しました。
ワークショップ後も、学生たちは自主的にオンラインミーティングやチャットを活用し、11月の渡航に向けて構成案をブラッシュアップ。異なる専門分野やバックグラウンドを持つ仲間と協力しながら、作品の完成イメージを共有する努力を続けました。
こうした準備を経て、いよいよ学生たちはカリフォルニアへ渡航。現地では、17名の学生たちが初めて対面で交流しました。クールジャパンセンターにて、現地でのコーディネート役を務めるアンソニー・アルジェイミー氏(山梨県顧問・カリフォルニア姉妹都市協会会長)が学生たちを歓迎し、ウェルカムパーティーが開催されました。この場は、翌日から始まる協働に向けて関係性を築く重要な機会となりました。


想定外と向き合いながら進んだ、2日目のアート制作

2日目は、いよいよアート制作本番。
早朝から各チームがテーマに沿って造形・着色・構成作業を進めました。高校生から大学生まで、年齢や出身地、学ぶ分野もまったく異なる学生たちが力を合わせ、1つのアート作品を形にしていきました。

しかし、現地での制作は事前の計画通りには進みませんでした。「1日で完成する」と想定していた工程が終わらない、必要な資材が揃わず別の方法を検討する必要があるなど、多くの想定外の事象が発生。学生たちは環境に合わせて工程を組み替えたり、作業分担を再調整したり、時には他のチームをサポートしたり、一丸となって柔軟に対応していきました。
こうした試行錯誤を通じて、学生たちは単なる作品制作を超え、状況判断力や協働による問題解決力の大切さを培うことができました。


ラグナビーチ市でのアートを通じた国際交流

3日目は、世界有数のアートシティとして知られ、世界中から観光客が訪れるラグナビーチ市を視察。市内のラグナビーチ美術館では、「Fuji-California Young Artists Expo」に応募したアート作品を展示しました。会場には一般来場者や地元アーティストなど多くの方が来訪し、学生たちは自身の作品の前に立ち、英語で作品の意図や制作過程を説明。来場者からの質問に答えながら、アートを通じた対話に挑戦する姿が見られました。英語に自信のない学生も多く、当初は話しかけることに躊躇する場面もありましたが、時間が経つにつれ、学生たちは積極的に来場者と交流し、アート作品を通じたコミュニケーションに前向きに取り組むようになりました。

展示終了後には、現地アーティストとの意見交換の機会も設けられ、学生の創造意欲や国際的な視野を広げる貴重な文化交流の場となりました。

アート、語学、異文化コミュニケーションが融合したこの一日は、学生にとって刺激に満ちた体験となり、これからのAI時代に求められる「感性と知性に基づく国際的な対話力」を学ぶ機会となりました。


共同制作の仕上げと、専門家による作品講評

最終日となる4日目には、共同アート作品の最終仕上げと、現地の専門家による作品講評が行われました。
制作が予定より進まず、完成が危ぶまれるチームもありましたが、先に作業を終えたチームが自主的にサポートに入り、全チームが時間内に作品を完成させました。年齢も経験も異なる参加者が声を掛け合い、互いの作業を補完し合う姿は、本プログラムが目指す「協働による課題解決」を体現するものとなりました。

作品講評には、市長、副市長、大学教授、女優、アーティストなど、多様な専門性をもつ審査員が参加しました。学生たちは緊張しながらも、自分たちの作品について英語でプレゼンを実施。審査員からはそれぞれの作品に対して「この視点が素晴らしい」「ここの工夫が秀逸」と細やかな講評があり、学生にとって専門的な指摘や励ましを受ける貴重な機会となりました。学生たちは涙と笑顔が入り混じり、達成感にあふれた時間を過ごしました。


4日間の学びを振り返り、成長を確かめる

作品講評の終了後には、カリフォルニアでの4日間の活動を振り返るリフレクション(振り返り)が行われました。学生たちは、本プログラムにおいてそれぞれが経験した葛藤や気づきを素直な言葉で語り合いました。

「アートを専門的に学んでいる誰かがやってくれるだろう…と思っていた甘さが、あの場面で出てしまった」

「皆が助けてくれたけれど、もっと自分から動けばよかった」

「年下のメンバーの方が自分よりもしっかりしていると感じ、焦りと学びがあった」

「不安だったが、助け合いで乗り越えられた瞬間があった」

こうした声に象徴されるように、学生一人ひとりが自身の行動や役割を見つめ直し、悔しさ・達成感・感謝が入り混じる時間となりました。

特に、共同制作や国際交流の場で直面した「計画通りに進まない現実」「自ら行動する重要性」などの経験は、学生たちの内面に大きな変化をもたらし、今回の派遣プログラムが単なる海外経験ではなく、自己理解と成長を促す学びの機会であったことを示すものとなりました。


挑戦と学びを重ねた4日間

初日の挨拶で、現地コーディネーターであるアンソニー氏は学生たちにこう語りました。
「スイートメモリーはいらない。成長した証だけを持って帰りましょう」

学生たちはその言葉を胸に、4日間の研修を通じて“挑戦と学び”を積み重ね、カリフォルニアでの各プログラムに主体的に取り組みました。

今回の「学生アート交流カリフォルニア州派遣事業」では、学生たちの成長が随所に見られ、異文化環境でのコミュニケーション力の向上、予期せぬ出来事への柔軟な対応力、国際的な舞台で作品を発表した経験、そして仲間と協働し課題を乗り越える姿勢など、こうした力を学生たちは確実に身に付けました。

富士五湖自然首都圏フォーラムでは今後も、若者が国際社会で活躍するための教育機会の提供と、アートを通じた国際交流の場づくりに取り組み、富士五湖地域から世界へ挑戦する人材の育成に努めてまいります。

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