一周年を迎え語られた未来への提言新コンソーシアムと今後の戦略を発表し、
官民連携・国際連携のあるべき姿を提案。
元サッカー日本代表監督・岡田氏も賛同

本フォーラム発足一周年にあたる2023年12月22日、山梨県は東京コンベンションホール(東京都中央区)で記念講演会を開催し、新たに誕生した2つの国際コンソーシアムについて発表。また、終了後に来場した企業や団体関係者の方々と交流を深め、多数の方々から大きな反響をいただきました。

講演および交流会のプログラムは以下の通りです。
主催者挨拶/山梨県知事・富士五湖首都圏自然フォーラム代表 長崎幸太郎
最高顧問就任挨拶/元サッカー日本代表監督、今治.夢スポーツ代表取締役 岡田武史氏
フォーラムの設立趣旨・活動内容についての講演/山梨県顧問・富士五湖自然首都圏フォーラム会長 田坂広志
新たな2つのコンソーシアム「富士五湖グローバル・ビレッジ」「富士グリーン水素コミュニティ」についての発表/富士五湖自然首都圏フォーラム会長 田坂広志、山梨県企業局電気課新エネルギーシステム推進室長 宮崎和也
全体総括/富士五湖自然首都圏フォーラム会長 田坂広志
記者会見、交流会

新たな価値と社会秩序を
地方から創造・提案する時代へ

富士山の世界遺産登録10周年という節目でもある、2023年に開催された本講演会ではフォーラム設立の趣旨やこの1年の活動内容、新たに誕生したコンソーシアム「富士五湖グローバル・ビレッジ」と「富士グリーン水素コミュニティ」について発表するとともに、新時代における官民連携、世界連携の在り方を訴えました。
冒頭、長崎幸太郎知事はフォーラムを「単なる地方創生という枠組みを超えた、民間と行政が柔軟に融合する新しい共同プロジェクトであり世界的な社会実験」と位置づけ、この度、本フォーラムの最高顧問に就任した元サッカー日本代表監督・岡田武史氏も「これからは地方から社会秩序を創る時代」と述べ、自身が学園長を務める「FC今治高等学校」もフォーラムと連携していく方針を表明しました。

冒頭の挨拶で壇上に立つ長崎幸太郎知事

「富士五湖地域を、教育、文化、芸術、創造、革新の中心となる“21世紀の自然首都圏”へと発展させていく “富士五湖首都圏フォーラム”は、国内外の企業、団体、行政が協働組織体となり価値を創造していく全く新しいスタイルのプロジェクトであり、行政の予算やマンパワーが上限となるような従来の地方創生事業とは一線を画すものと自負しています」

(山梨県・長崎幸太郎知事)
ビデオメッセージで一周年への祝辞を述べる岡田武史 新最高顧問

地球温暖化や、資本主義と民主主義のいき詰まり、格差や分断により従来の常識が通用しない混沌とした時代を迎えつつあります。そんな今だからこそ、地方から新たなロールモデルや価値を創出することが人類の希望に繋がります。私が学園長を務める『FC今治高等学校』も未来の社会に求められる人材の育成を、山梨県とともに行っていきたい」

(フォーラム最高顧問・岡田武史氏)

新たな国際コンソーシアム
「富士五湖グローバル・ビレッジ」とは?

本フォーラムは「自然首都圏構想ワーキンググループ」をマザーワーキンググループとした、5つのワーキンググループ(以下:WG)がクロスオーバーし、有機的にプロジェクトを企画・推進するスタイルで推進されています。田坂広志会長は3つのWG「アートシティ富士五湖WG」「富士五湖アカデメイアWG」「グローバル富士五湖WG」の共同プロジェクトとして誕生した「富士五湖グローバル・ビレッジ」構想について、その設立趣旨と今後の目標について発表し、グローバルサウスも含めた世界連携を山梨県から実行していく必要性を問いかけました。

「富士五湖グローバル・ビレッジ」とは、発展途上国やグローバルサウスを含めた世界各地から、アートで社会的課題の解決を目指す若い世代が集まる“アートビレッジ”を富士五湖地域に創出する事業体です。“アートという世界共通言語”を用い、英語を母国語としない国々の人々も取りこぼすことなく、ともに社会問題の解決を目指します。今や世界の課題となっている『発展途上国とともに経済成長を遂げる“包括的成長/Inclusive Growth”』を山梨県が先駆けて実行し、日本から世界へ良い影響を与えていくべきです」

(田坂広志会長)
1年を振り返り、改めてフォーラムの趣旨と、新たなコンソーシアムのビジョン・戦略を語る田坂広志会長

2023年の大きな一歩として、田坂会長はアートの巡回展「California Young Artist Expo」や、世界中の若者が世界の諸課題を議論する国際会議「California Youth Leadership Summit」の日米共催イベントの開催が決定したことを挙げました。現在も引き続き20以上の国にイベントと「富士五湖グローバル・ビレッジ」への参加を呼び掛けており、「富士五湖グローバル・ビレッジ」に参画する公的機関や民間企業等は、この富士五湖地域で、様々な国際共同イベントや国際共同プロジェクトの実施が可能になるほか、フォーラムへの参画を表明している富士北麓6町村(富士河口湖町、山中湖村、忍野村、鳴沢村、身延町、西桂町)の各施設を国際イベントなどに活用できるよう調整を行っています。

「富士五湖グローバル・ハウス」として活動の拠点となる「河口湖音楽と森の美術館」の各施設(図左)と、積極活用が期待される富士北麓6町村が所有する各施設の参考(図右)

もう一つのコンソーシアム
「富士グリーン水素コミュニティ」が目指すもの

フォーラムは水素エネルギーの技術開発、実証実験、社会実装を体験できる国際コンソーシアムとして「グリーン水素コミュニティ」を設立しました。潜在的な顧客になりうる海外諸国や、水素エネルギーに関する取り組みを行っている国内外の自治体、団体、企業とも協業しながら、山梨県から日本の水素エネルギーシステムを世界の標準へと押し上げることを目指します。

「富士グリーン水素コミュニティ」のロゴデザインも発表

山梨県企業局宮崎和也エネルギーシステム推進室長は「グリーン水素コミュニティ」の実現に向けて、着々と進むプロジェクトの実例を発表しました。主な実績として挙げられたのは、山梨県が民間企業と共同で開発した「P2Gシステム」の研究開発、および社会実証実験です。「P2Gシステム」とは太陽光などを利用し、製造過程でCO2を排出しない “グリーン水素”を製造するだけでなく、安定的な太陽光電力は直利用し、太陽光エネルギーの不安定な部分のみを水素に変換する画期的なシステムです。すでに大企業から地元スーパーまで幅広い業種の5社が実験導入済であるうえ、山梨県北杜市にある「サントリー白洲蒸留所」が導入を決定しており、醸造所の近隣にP2Gシステムを採用した国内最大級のエネルギー施設を建築予定です。

さらに東京都とは2022年10月に提携を結び、「東京ビッグサイト」の電力を一部水素で賄うほか、都内に小型のP2G装置の開発・設置することが決定しています。同年に福島県が、2023年8月には群馬県とも提携。海外ではインドやインドネシアが名乗りを上げ、導入に向けて、調査の最終段階を迎えています。

「水素エネルギーの研究開発施設がある山梨県甲府市の米倉山は、国内外から多くの視察団が訪れる場所となっています。さらに、2023年3月には日本を代表する燃料電池の研究機関「FC-Cubic」が東京から米倉山の研究施設に移転し、日々、私どもと共同で燃料電池の技術向上のための評価・研究を行っていただいております。2027年以降に開通予定のリニア中央新幹線の開通後は、この地の利便性、注目度はより高まり、米倉山は日本有数の水素と燃料電池の研究開発拠点となっていく可能性を秘めています」

(山梨県企業局 宮崎和也エネルギーシステム推進室長)
壇上からフォーラムへの参画を呼びかける宮崎室長。「この事業を未来に繋げるためには、民間で採算が採れるビジネスに育て上げ、公共事業という枠組みを超えていく必要があります。水素エネルギー事業に関心を持っていただけた企業、団体様はぜひご協力していただきたい」と語った

全体総括「山梨県から世界の未来を考える」

会を総括して、田坂会長はフォーラムの意義を「単なる地方創生事業ではなく『日本という国の未来をどう考えるか?』という深い問いを投げかけるプロジェクト」と定義し、「冒頭で岡田最高顧問が述べたように、地方からこの国の未来を変えていくことが重要な時代となっています。目の前の現実を1ミリでも良い方向に変えようという志のある企業、団体様は、それぞれの立場でぜひお力添えをいただきたい」と述べ、締めくくりました。

フォーラムは今後も幅広い企業、団体の皆様と協働しながら、新しい首都の在り方を模索し、社会課題の解決を進めていく方針です。ご関心を持っていただいた企業、団体の関係者の皆様はぜひ、こちらのお問い合わせフォームよりご連絡をお願いいたします。

お問い合わせ – 富士五湖自然首都圏フォーラム (fuji5lakes-forum.jp)

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